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相続した家はどう売る?売却の流れ・税金・注意点をわかりやすく解説

「親が亡くなり実家を相続したけれど、住む予定がない」「相続した家をどうやって売ればいいのかわからない」——そんなお悩みを抱えている方は少なくありません。相続した家は、放置すれば固定資産税や管理費がかかり続けるだけでなく、建物の老朽化や近隣トラブルの原因にもなりかねません。一方で、売却するにも名義変更や遺産分割協議、税金の計算など、通常の不動産売却にはない特有の手続きが求められます。本記事では、相続した家を売却するための具体的な手順、かかる税金と節税の特例、売却時に気をつけるべきポイント、そして売れにくい物件への対処法まで、実務に即した情報を網羅的に解説します。2026年現在の最新制度を踏まえた内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

相続した家を売る前に知っておくべき基本知識

相続不動産の売却は、一般的な不動産売却とは異なるステップを踏む必要があります。まずは全体像を把握しておくことで、後々の手続きをスムーズに進められます。ここでは、売却前に押さえておきたい基本的な知識を整理します。

相続した家はそのままでは売れない——名義変更が必須

相続した家を売却するためには、不動産の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人へ変更する「相続登記」が必要です。不動産登記簿上の所有者が故人のままでは、買主への所有権移転登記ができないため、売却手続きを進めることができません。

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければならず、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。売却を考えている方は、なるべく早い段階で相続登記を済ませておきましょう。

参考:法務省「相続登記の申請義務化について」

遺産分割協議が済んでいるか確認する

相続人が複数いる場合、誰がその不動産を相続するかを決める「遺産分割協議」を行い、「遺産分割協議書」を作成する必要があります。遺言書がある場合は遺言の内容に従いますが、遺言がない場合は相続人全員の合意が求められます。

遺産分割協議が整わないまま長期間放置すると、相続人がさらに亡くなって権利関係が複雑化する「数次相続」の問題が発生することもあります。家を売却する意向がある場合は、できるだけ早い段階で協議をまとめることが重要です。

相続放棄という選択肢もある

相続した家に多額のローンが残っていたり、建物の状態が著しく悪かったりする場合、相続放棄を検討する方もいらっしゃるでしょう。相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。ただし、相続放棄をするとプラスの財産も含めてすべての相続権を失う点に注意が必要です。不動産だけを放棄するということはできません。

参考:裁判所「相続の放棄の申述」

相続した家を売るまでの流れ|7つのステップ

相続した家を売却するには、通常の不動産売却の手順に加えて、相続特有の手続きが加わります。ここでは、実際の流れを7つのステップに分けてわかりやすく解説します。

ステップ1:遺言書の有無を確認する

まず最初に行うべきは、遺言書が残されているかどうかの確認です。公正証書遺言であれば公証役場で検索できますし、自筆証書遺言であれば法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管されている場合もあります。遺言書の有無によって、誰が不動産を相続するかの決定方法が変わりますので、最初に確認しておきましょう。

ステップ2:相続人の確定と遺産分割協議

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得し、法定相続人を確定させます。相続人が確定したら、遺産分割協議を行い、不動産を誰が相続するか(あるいは共有にするか)を決定します。売却を前提とする場合は、代表者が単独で相続して売却後に代金を分配する方法がスムーズです。この方法を「換価分割」といいます。

ステップ3:相続登記を行う

遺産分割協議がまとまったら、法務局で相続登記(所有権移転登記)を申請します。必要書類は以下の通りです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印済み)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 登記申請書

相続登記は自分で行うことも可能ですが、書類の収集や申請に不安がある場合は司法書士に依頼するのが一般的です。費用は数万円〜10万円程度が目安となります。

参考:法務局「相続登記の申請についてのご案内」

ステップ4:不動産会社に査定を依頼する

相続登記が完了したら(もしくは並行して)、不動産会社に売却価格の査定を依頼します。複数社に査定を依頼して相場感をつかむことが大切です。相続不動産は、築年数が古い物件や立地条件が良くない物件も多いため、地域に精通した不動産会社や、訳あり物件の取り扱い実績がある会社にも声をかけてみるとよいでしょう。

ステップ5:媒介契約を結んで売却活動を開始する

査定結果を比較検討し、信頼できる不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類がありますが、相続物件で早期売却を目指す場合は、不動産会社が積極的に販売活動を行ってくれる専任媒介または専属専任媒介がおすすめです。

ステップ6:売買契約を締結する

購入希望者が見つかったら、価格や引き渡し条件の交渉を経て売買契約を締結します。契約時には買主から手付金を受け取ります。相続不動産の場合、建物の状態について買主とトラブルにならないよう、契約不適合責任の範囲を事前に明確にしておくことが重要です。古い建物の場合は「現況有姿」での売却や、契約不適合責任を免責とする条件を設定することも検討しましょう。

ステップ7:決済・引き渡しを行う

買主のローン審査が通ったら、決済と物件の引き渡しを行います。残代金を受領し、同時に買主への所有権移転登記を行います。家財道具が残っている場合は、引き渡しまでに片付けを済ませておく必要があります。遺品整理に時間がかかる場合は、売却スケジュールに余裕を持たせるか、買取業者に残置物ごと買い取ってもらう方法も選択肢に入れておきましょう。

相続した家を売るときにかかる税金と費用

相続不動産の売却では、さまざまな税金や費用が発生します。事前に把握しておくことで、手取り額の見通しを立てやすくなります。ここでは主な税金と費用を整理します。

譲渡所得税・住民税

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税と住民税が課されます。税率は不動産の所有期間によって異なります。

所有期間の計算方法

相続した不動産の所有期間は、被相続人が取得した日から起算されます。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」として扱われます。

  • 長期譲渡所得:所得税15.315%+住民税5%=合計20.315%
  • 短期譲渡所得:所得税30.63%+住民税9%=合計39.63%

親が何十年も所有していた実家であれば、ほとんどの場合長期譲渡所得に該当しますので、税率は20.315%が適用されます。

参考:国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」

取得費がわからない場合

相続不動産で問題になりやすいのが、被相続人がいくらでその不動産を購入したかがわからないケースです。売買契約書や領収書が見つからない場合、取得費は売却価格の5%として計算する「概算取得費」を用いることになります。この場合、売却価格の95%が譲渡所得として課税対象となるため、税負担が大きくなる傾向があります。購入当時の書類は可能な限り探しておきましょう。

相続税を取得費に加算できる特例

相続税を納付している場合、相続税の申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内)の翌日から3年以内に相続不動産を売却すれば、支払った相続税の一部を取得費に加算できる「相続税の取得費加算の特例」が利用できます。これにより、譲渡所得を圧縮して税負担を軽減することが可能です。

参考:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

3,000万円特別控除(空き家特例)

相続した家が被相続人の居住用家屋であった場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼ばれます。

主な適用要件

  • 被相続人が相続開始の直前まで一人で居住していた家屋であること(一定の要介護認定を受けて老人ホーム等に入所していた場合も対象となりうる)
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
  • 区分所有建物(マンション等)でないこと
  • 相続時から売却時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていないこと
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 家屋を取り壊して更地にして売却するか、耐震リフォームを施して新耐震基準に適合させて売却すること

この特例は2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象となっています。適用を受けるためには確定申告が必要ですので、要件を満たすかどうかを早めに税理士や税務署に確認しておくことをおすすめします。

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

その他の費用

税金以外にも、相続不動産の売却ではさまざまな費用が発生します。主なものを以下にまとめます。

  • 仲介手数料:売却価格の3%+6万円(税別)が上限。400万円以下の物件は上限が異なる場合があります。
  • 相続登記費用:登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)+司法書士報酬(数万円〜10万円程度)
  • 測量費用:土地の境界が確定していない場合、確定測量が必要になることがあります(30万〜80万円程度)
  • 建物解体費用:更地にして売る場合に必要(木造で100万〜300万円程度が目安)
  • 遺品整理・残置物撤去費用:家財道具の処分が必要な場合(数万〜数十万円)
  • 印紙税:売買契約書に貼付する収入印紙代

相続した家を売るときの注意点

相続不動産の売却は、通常の売却と比べてトラブルが起きやすい面があります。ここでは、特に注意すべきポイントを解説します。

共有名義のまま売却する際のリスク

遺産分割協議で不動産を相続人全員の共有名義にした場合、売却には共有者全員の同意が必要になります。一人でも反対すると売却できないため、共有者間で意見が対立すると手続きが止まってしまいます。売却を前提にしている場合は、前述の換価分割(代表者が単独相続し、売却代金を分配する方法)を選択するのが実務上望ましいでしょう。

相続人間のトラブルを防ぐために

「実家を売りたい人」と「残したい人」で意見が分かれるケースは珍しくありません。感情的な対立を避けるためにも、早い段階で不動産の現状(維持費・管理の負担・資産価値)を相続人全員で共有し、合理的な判断ができる環境を整えることが大切です。話し合いが難しい場合は、弁護士や家庭裁判所の調停を利用することも視野に入れましょう。

売却のタイミングに注意する

前述の「相続税の取得費加算の特例」や「空き家の3,000万円特別控除」には、それぞれ適用期限があります。特例の期限を過ぎてしまうと、数百万円単位で手取りが変わる可能性があります。相続が発生したら、できるだけ早く売却スケジュールを検討し、税理士に相談しておきましょう。

古い家の契約不適合責任に注意する

相続した家は築年数が古いことが多く、雨漏り・シロアリ被害・給排水設備の不具合などが隠れている可能性があります。売主が把握していなかった不具合でも、契約不適合責任を問われる場合があります。リスクを軽減するためには、事前にインスペクション(建物状況調査)を実施する、あるいは契約不適合責任の免責特約を付ける、買取業者に売却するなどの方法を検討してください。

空き家のまま放置するリスク

「すぐに売却を決められない」という場合でも、空き家のまま放置するのは避けるべきです。管理が行き届かない空き家は、自治体から「管理不全空家」や「特定空家」に指定される可能性があり、指定されると固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1の軽減)が解除されて税負担が跳ね上がります。また、倒壊や衛生上の問題で近隣住民から損害賠償を求められるリスクもあります。

参考:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」

売れにくい相続物件への対処法

相続した家のなかには、立地や建物の状態、権利関係の複雑さなどから、なかなか買い手がつかない物件もあります。ここでは、売れにくい物件を処分するための現実的な方法をご紹介します。

不動産買取業者への売却を検討する

仲介で買い手が見つからない場合、不動産買取業者に直接売却する方法があります。買取価格は市場価格より低くなる傾向がありますが、以下のようなメリットがあります。

  • 短期間で現金化できる(最短数日〜数週間)
  • 仲介手数料がかからない
  • 契約不適合責任を免責にしてもらえるケースが多い
  • 残置物をそのまま引き取ってもらえる場合がある
  • 周囲に知られずに売却できる

特に、築年数が非常に古い物件、再建築不可の物件、接道条件を満たさない物件など、一般の買い手がつきにくい「訳あり物件」を専門に取り扱う買取業者も存在します。複数の買取業者に見積もりを依頼し、条件を比較することをおすすめします。

更地にして売却する

建物の老朽化が著しく、建物付きでは買い手がつかない場合は、建物を解体して更地にすることで売れやすくなることがあります。ただし、解体費用がかかるうえ、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるため、売却までに時間がかかると税負担が増えるリスクがあります。解体するかどうかは、売却見込み時期とのバランスで判断しましょう。

空き家バンクに登録する

各自治体が運営する「空き家バンク」に物件情報を登録する方法もあります。特に地方の物件で、移住希望者やセカンドハウスを探している方とマッチングできる可能性があります。費用はかかりませんが、成約までに時間がかかる傾向があります。

相続土地国庫帰属制度を利用する

2023年4月27日に開始された「相続土地国庫帰属制度」は、相続した土地を国に引き取ってもらえる制度です。ただし、建物が建っている土地は対象外(更地にする必要がある)であり、土壌汚染がないこと、境界が明確であることなど、さまざまな要件を満たす必要があります。また、審査手数料(1筆あたり14,000円)と、承認された場合の負担金(原則20万円、面積に応じて加算される場合あり)が必要です。

参考:法務省「相続土地国庫帰属制度について」

相続した家の売却に必要な確定申告

相続した家を売却して譲渡所得が発生した場合、確定申告が必要です。また、前述の特例を利用する場合は、譲渡所得がゼロになる場合でも確定申告をしなければ特例の適用を受けることができません。ここでは確定申告の基本的なポイントを押さえておきましょう。

確定申告の時期と方法

不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までに、所轄の税務署に確定申告書を提出します。e-Taxを利用してオンラインで申告することも可能です。

確定申告に必要な主な書類

  • 確定申告書(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書の写し(売却時・取得時)
  • 仲介手数料の領収書等
  • 登記事項証明書
  • 相続税の申告書の写し(取得費加算の特例を利用する場合)
  • 被相続人居住用家屋等確認書(空き家の3,000万円特別控除を利用する場合。市区町村で取得)

書類の準備や計算が複雑な場合は、税理士に依頼することを検討してください。特に、複数の特例を組み合わせて適用する場合や、共有持分の売却の場合は専門家の助けが有効です。

参考:国税庁「確定申告特集」

株式会社ネクスプラスの強み|相続不動産の売却でお困りの方へ

相続した家の売却は、通常の不動産取引以上に専門的な知識と柔軟な対応力が求められます。特に、築年数の古い物件や権利関係が複雑な物件の場合、信頼できるパートナー選びが売却の成否を左右します。ここでは、株式会社ネクスプラスが相続不動産の売却においてどのようなお力添えができるかをご紹介します。

訳あり物件の取り扱い実績が豊富

株式会社ネクスプラスは、築年数が古い物件、再建築不可の物件、権利関係が複雑な共有持分物件など、一般的な不動産会社では取り扱いが難しいとされる「訳あり物件」の買取を数多く手がけてまいりました。相続不動産は物件ごとに事情が異なりますが、豊富な実績に基づく知見があるからこそ、他社で断られた物件にも適切な評価と買取提案をすることが可能です。

スピード対応と現金化までの早さ

相続税の納税期限が迫っている方や、遺産分割のために早急に現金化したい方にとって、売却のスピードは非常に重要な要素です。ネクスプラスでは、査定依頼から最短即日での買取価格提示、迅速な決済を実現しています。余計な手間をかけず、素早く現金化したいというご要望に、ワンストップでお応えできる体制を整えております。

相続・管理トラブルの解決実績

共有 名義の不動産や、相続人間で意見がまとまらないケースなど、相続不動産には複雑なトラブルがつきものです。ネクスプラスでは、こうした難しい案件にも数多く対応してきた実績があります。弁護士・司法書士・税理士などの専門家とも連携しながら、法的なトラブルを含めた総合的な解決策をご提案いたします。

「遠方にある空き家を管理できない」「固定資産税だけがかかり続けている」「相続登記が未了のままになっている」といったお悩みも、まずはお気軽にご相談ください。物件の状態や権利関係を丁寧にヒアリングしたうえで、最適な売却プランをご案内いたします。

仲介では売れない物件も買取可能

築年数が古い物件、再建築不可の物件、旧耐震基準の物件、事故物件など、一般的な不動産仲介では買い手が見つかりにくい物件も、ネクスプラスなら直接買取が可能です。当社は自社でリフォーム・リノベーションを行い再販するノウハウを持っているため、現状のままでの買取にも柔軟に対応できます。

仲介での売却活動が長期化すると、その間の固定資産税や管理費、建物の劣化リスクなど、さまざまなコストが積み重なります。買取であれば、こうした負担を最小限に抑えながら確実に売却を完了させることができます。

秘密厳守・近隣に知られずに売却

相続による不動産売却は、ご近所の方に知られたくないというご要望も少なくありません。ネクスプラスの直接買取であれば、不動産ポータルサイトへの掲載や内覧対応といった販売活動を一切行わずに売却が完了します。プライバシーを守りながら、安心してお取引いただけます。

相続した家の売却でお困りの方は、ぜひネクスプラスにご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かし、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なご提案をいたします。査定は無料、秘密厳守で対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

相続した家を売る際によくある質問(Q&A)

相続した家の売却に関して、多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。売却前の不安解消にお役立てください。

Q1. 相続した家を売るには、まず何から始めればよいですか?

A. まずは相続登記(名義変更)を行うことが最優先です。2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に手続きを行わないと過料が科される可能性があります。相続登記が完了していなければ不動産の売却はできませんので、司法書士に依頼するなどして早めに名義変更を済ませましょう。その後、不動産会社に査定を依頼し、売却方法(仲介・買取)を検討する流れになります。

Q2. 相続した家を売却した場合、どのような税金がかかりますか?

A. 主にかかる税金は以下の通りです。まず、売却益(譲渡所得)が発生した場合には「譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)」がかかります。税率は所有期間(被相続人の取得日から起算)によって異なり、5年以下の短期譲渡所得は約39.63%、5年超の長期譲渡所得は約20.315%です。また、売買契約書に貼付する「印紙税」、相続登記の際の「登録免許税」も必要です。なお、相続税を納付済みの場合は「取得費加算の特例」により、相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得を圧縮できる場合があります。

Q3. 相続した家を売るときに使える税制優遇措置はありますか?

A. 代表的なものとして「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」があります。これは、被相続人が一人暮らしをしていた家を相続し、一定の要件を満たして売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。主な要件として、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始から譲渡の日まで空き家であること、相続開始日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること、売却価格が1億円以下であることなどがあります。また、前述の「取得費加算の特例」も活用できますが、3,000万円控除との併用はできないため、どちらが有利か比較検討する必要があります。

Q4. 相続した家の売却と相続税の申告はどちらを先に行うべきですか?

A. 相続税の申告・納付期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています。一方、不動産の売却には通常3か月〜1年程度の時間がかかります。理想的には相続税の申告期限までに売却を完了させ、売却代金で相続税を納付できれば最もスムーズです。ただし、売却が間に合わない場合でも、延納や物納といった制度を活用できる場合があります。売却を急ぐ必要がある場合は、不動産買取を利用することで短期間での現金化が可能です。税理士と不動産会社の両方に早めに相談し、スケジュールを調整することをおすすめします。

Q5. 相続人が複数いる場合、家の売却はどのように進めればよいですか?

A. 相続人が複数いる場合、まず遺産分割協議を行い、不動産の取り扱いについて全員の合意を得る必要があります。売却する場合の一般的な方法は「換価分割」で、不動産を売却して得た代金を相続人間で分配します。この際、代表相続人の名義に相続登記を行ってから売却するケースが多いです。なお、共有名義のまま売却することも可能ですが、売買契約や決済時に共有者全員の署名・捺印が必要となるため、手続きが煩雑になります。相続人同士で意見が対立している場合は、弁護士を交えた調停や家庭裁判所への申立てが必要になることもあります。

Q6. 相続した家を売る場合、仲介と買取のどちらが良いですか?

A. それぞれにメリット・デメリットがあり、状況によって最適な方法は異なります。「仲介」は市場価格に近い金額で売れる可能性がありますが、買い手が見つかるまで時間がかかる場合があり、内覧対応や交渉の手間も発生します。「買取」は不動産会社が直接購入するため、仲介手数料が不要で、短期間(最短数日〜数週間)で現金化できますが、買取価格は市場価格の6〜8割程度になることが一般的です。相続税の納付期限が迫っている方、遠方の物件を早く処分したい方、築古や訳あり物件をお持ちの方には、買取が適しているケースが多いです。

Q7. 相続した家が遠方にある場合、売却手続きはどうすればよいですか?

A. 遠方の物件でも売却は可能です。まず、相続登記は司法書士にオンラインや郵送で依頼することができます。不動産会社への査定依頼もオンラインや電話で対応してもらえるケースが増えています。売買契約の締結時には、代理人(委任状が必要)を立てることで、現地に行かずに手続きを進めることも可能です。また、持ち回り契約といって、契約書を郵送でやり取りする方法もあります。ただし、物件の状態確認や残置物の整理など、一度は現地を訪問したほうが良い場合もあります。遠方対応に慣れた不動産会社を選ぶことが、スムーズな売却のポイントです。

Q8. 相続した家に残っている家具や荷物はどうすればよいですか?

A. 仲介で売却する場合は、原則として売主側で残置物を撤去する必要があります。遺品整理業者に依頼すれば、仕分け・搬出・処分を一括で任せることができ、費用の目安は一戸建てで20万〜60万円程度です(物量や地域により異なります)。一方、不動産買取の場合は、残置物がある状態のまま買い取ってもらえるケースも多いため、片付けの手間や費用を節約できます。思い出の品や貴重品の整理は時間がかかることもありますので、売却を決めたら早めに取りかかることをおすすめします。

Q9. 相続した家を売却せずに放置するとどのようなリスクがありますか?

A. 相続した家を空き家のまま放置すると、さまざまなリスクが生じます。まず、固定資産税や都市計画税が毎年かかり続けます。さらに、2023年に改正された空家等対策特別措置法により、「管理不全空家」に指定されると住宅用地の固定資産税の軽減措置(最大6分の1)が解除され、税負担が大幅に増加する可能性があります。建物の老朽化による倒壊や、不法投棄・放火・害虫発生などのリスクもあり、近隣住民への損害賠償責任を問われるおそれもあります。また、相続登記を怠ると過料の対象となるほか、時間が経つにつれて相続人が増え(数次相続)、売却がますます困難になることもあります。

Q10. 相続した家の売却で確定申告は必要ですか?

A. 相続した家を売却して譲渡所得(売却益)が発生した場合は、翌年の2月16日〜3月15日の期間に確定申告が必要です。3,000万円特別控除や取得費加算の特例などの税制優遇を受ける場合も、確定申告をしなければ適用されません。一方、売却損が出た場合は確定申告の義務はありませんが、他の譲渡所得と損益通算できる場合もあるため、申告したほうが有利なケースもあります。確定申告に必要な書類としては、売買契約書の写し、登記事項証明書、取得費がわかる資料(被相続人が購入した際の契約書等)、仲介手数料などの領収書、相続関係書類などがあります。不安な場合は税理士に相談されることをおすすめします。

Q11. 被相続人が住んでいた家の取得費がわからない場合はどうなりますか?

A. 被相続人が何十年も前に購入した家の場合、購入時の売買契約書や領収書が見つからないことは珍しくありません。取得費が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算する方法が認められています。ただし、この方法では取得費が極端に低くなるため、譲渡所得が大きくなり税負担が増えてしまいます。実際の取得費を証明できる資料がないか、まずは徹底的に探すことが重要です。売買契 約書のコピーや当時の不動産会社の記録、住宅ローンの書類、登記簿の抵当権設定額などから取得費を推定できる場合もあります。また、国税庁が公表している「市街地価格指数」を利用して合理的に取得費を算出する方法も認められるケースがあります。取得費が不明で高額な譲渡所得が発生しそうな場合は、税理士に相談して最適な対応策を検討しましょう。

Q12. 相続した家を売却する際、近隣トラブルがある場合はどうすればよいですか?

A. 相続した家に近隣トラブル(境界紛争、騒音問題、越境物の存在など)がある場合、売却前に可能な限り解決しておくことが望ましいです。特に境界に関するトラブルは買主にとって大きなリスクとなるため、売却価格の下落や買い手がつかない原因になります。境界確定測量を実施して隣地所有者と境界確認書を取り交わす、越境物があれば撤去や覚書の締結を行うなど、具体的な対応を進めましょう。近隣トラブルの内容によっては、売買時の重要事項説明で告知義務が生じる場合もあります。隠して売却するとのちに損害賠償請求を受けるリスクがあるため、誠実に情報開示することが大切です。不動産会社に事前に状況を伝え、適切な対応方法についてアドバイスを受けましょう。

Q13. 相続した家に残っている家財道具はどうすればよいですか?

A. 相続した家には被相続人の家財道具や生活用品が残されていることがほとんどです。売却前にこれらを整理・処分する必要があります。まず、貴重品や重要書類、思い出の品などを選別し、必要なものを引き取ります。残りの不用品については、自治体の粗大ごみ回収を利用する、リサイクルショップに買い取ってもらう、遺品整理業者に依頼するなどの方法があります。遺品整理業者に依頼する場合の費用は、一軒家で15万円〜50万円程度が相場です。ただし、家の広さや物の量によって大きく変動します。なお、家財道具が残ったままの状態でも「現況渡し」として売却できる場合がありますが、その分だけ売却価格が下がる可能性があるため、できる限り事前に片付けておくことをおすすめします。

Q14. 相続登記を自分で行うことはできますか?費用はどのくらいですか?

A. 相続登記は自分で行うことも可能です。法務局では相続登記の申請方法について無料相談を受け付けており、必要書類の案内もしてもらえます。自分で行う場合の費用は、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)と戸籍謄本等の取得費用(数千円程度)が主な費用となり、合計で数万円程度に収まることが多いです。一方、司法書士に依頼する場合は、報酬として5万円〜15万円程度が加算されます。ただし、相続関係が複雑な場合(相続人が多い、数次相続が発生しているなど)は、自分で行うと書類の不備や手続きの遅延が生じやすくなります。売却を急いでいる場合や相続関係が複雑な場合は、司法書士に依頼したほうが結果的にスムーズに進むでしょう。

Q15. 相続した家を売却した後、確定申告を忘れるとどうなりますか?

A. 相続した家を売却して譲渡所得が発生した場合、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う義務があります。確定申告を忘れたり期限に遅れたりすると、本来の税額に加えて「無申告加算税」や「延滞税」が課されます。無申告加算税は、原則として納付すべき税額の15%(50万円を超える部分は20%)が上乗せされます。また、延滞税は納期限の翌日から完納日までの日数に応じて年率で課されます。さらに悪質な場合は「重加算税」(35%〜40%)が課されることもあります。一方、譲渡所得がゼロまたはマイナス(譲渡損失)の場合でも、3,000万円特別控除などの特例を適用するためには確定申告が必要です。特例を適用した結果として税額がゼロになる場合でも、申告しなければ特例の適用を受けられない点に注意してください。

Q16. 相続した家が遠方にある場合、売却手続きはどのように進めればよいですか?

A. 相続した家が遠方にある場合でも、売却手続きを進めることは十分可能です。まず、売却を依頼する不動産会社は、物件所在地の地元業者を選ぶのが基本です。地域の相場や需要を熟知しているため、適切な価格設定や販売戦略が期待できます。現地に何度も足を運べない場合は、不動産会社との打ち合わせや書類のやり取りを郵送・メール・オンライン面談で対応してもらえるか事前に確認しましょう。売買契約の締結時には通常は現地に出向く必要がありますが、代理人(親族や司法書士など)に委任状を渡して代理で契約を行うことも可能です。また、決済・引き渡しについても、持ち回り契約や司法書士の立会いにより遠隔で対応できるケースがあります。ただし、物件の状態確認や鍵の引き渡しなど、最低1〜2回は現地を訪問する必要が生じることが多いため、スケジュールに余裕を持って計画することが大切です。

Q17. 相続した家の売却で損失が出た場合、税金の還付は受けられますか?

A. 相続した家の売却で譲渡損失が出た場合、原則として他の所得との損益通算や繰越控除はできません。不動産の譲渡損失の損益通算が認められるのは、「マイホーム(居住用財産)」を売却した場合に限られています。相続した家に相続人自身が居住していた場合はマイホームに該当するため、一定の要件を満たせば他の所得と損益通算し、控除しきれない分は翌年以降3年間繰り越すことができます。しかし、相続人が住んでいなかった家(空き家として相続したケース)の場合は、この特例の適用対象外となるのが一般的です。譲渡損失が出た場合でも確定申告を行うかどうかは任意ですが、適用可能な特例がないかどうかを税理士に確認しておくとよいでしょう。

まとめ:相続した家をスムーズに売却するために

相続した家を売却するプロセスは、通常の不動産売却と比べて手続きが多く、法律や税金に関する知識も求められます。しかし、一つひとつのステップを正しく理解し、適切な順序で進めていけば、決して難しいものではありません。

最後に、相続した家をスムーズに売却するためのポイントを改めて整理しておきましょう。

  • 早めの行動が鍵:相続が発生したら、できるだけ早い段階で遺産分割協議を行い、相続登記を完了させましょう。空き家のまま放置すると固定資産税の増額、建物の劣化、近隣トラブルなどのリスクが高まります。
  • 相続登記は必須:2024年4月から相続登記が義務化されています。相続を知った日から3年以内に登記を完了させなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。売却の前提条件でもあるため、最優先で手続きを進めてください。
  • 複数の不動産会社に査定を依頼:相続した家の適正な売却価格を把握するために、最低3社以上の不動産会社に査定を依頼しましょう。査定額だけでなく、担当者の対応力や販売戦略、相続物件の取扱い実績も重要な判断基準です。
  • 税制特例を最大限活用:相続した家の売却では、「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」や「被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除」など、税負担を大幅に軽減できる特例があります。適用要件をしっかり確認し、活用漏れのないようにしましょう。
  • 売却期限を意識する:取得費加算の特例は相続税の申告期限から3年以内、空き家の3,000万円特別控除は相続開始から3年を経過する年の12月31日までという期限があります。期限を過ぎると特例が使えなくなるため、逆算してスケジュールを組むことが重要です。
  • 専門家の力を借りる:相続や不動産売却に関する手続きは専門性が高く、判断を誤ると大きな損失につながることもあります。不動産会社はもちろん、司法書士、税理士、弁護士など、必要に応じて各分野の専門家に相談することをためらわないでください。

相続した家の売却は、故人の大切な財産を次のステップへとつなげる重要な手続きです。感情的にも難しい場面があるかもしれませんが、正しい知識と信頼できるパートナーの力を借りながら、納得のいく形で売却を進めていただければと思います。この記事が、相続した家の売却を検討されている方の一助となれば幸いです。